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私の「おいしい」にぴったりはまる味|6月23日(金)

フィジーに来て1ヶ月が経って、明確に分かったことがある。

私は、日本で食べていたものが好きだということ。米とか漬物とか味噌汁とかの「日本食」に限らない。

今、これを読んでいるあなたが日本にいるのなら食べようとしているもの全て。

豚の生姜焼きもそう、クックドゥの回鍋肉もそう、コンビニのサラダパスタも、たべっこ動物も、お母さんが冷凍庫の奥に隠してるハーゲンダッツもそう。

なんだよ、日本食が恋しくなるなんて海外行った人みんなそう言うよ、と思うかもしれない。

日本の食がただ恋しくなったわけではない。20年ほど日本から出たことがなかった私にとって、日本で食べていた家庭料理や日本のスーパー・コンビニで買える食べ物の味と、海外(フィジー)で食べる味は、1つとして同じものはないということが分かっていなかった。日本の味は日本でしか食べられないみたい。

フィジー人の食事も、インド人の食事も、私にとって「おいしい」の範囲の中には入るけど、当然日本の家庭で食べる味とは何かが異なっている。

そりゃあ、使う食材、調味料が違うんだから当たり前だし、揃えられる材料で日本と同じように自炊をするけど、同じ味にはたどり着けない。

ほんの微々たる差。有塩バターなのに塩味が少ないとか、トマトソースなのにトマトの味があんまりしないとか、マヨネーズなのに濃良い味があんまりしないとか。いつものあのご飯の匂いがしないとか。

そういうそれぞれの調味料のちょっとした差が、出来上がりの味の差になってゆく。

自炊した料理も、フィジーの人に振る舞ってもらう料理も、「いつもの味」とはズレている。そしてそれが、意外と心身に負荷をかけているような気がする。

ずーっと強風にさらされているみたいな感覚。髪の毛を拭き荒らされても、その瞬間は大丈夫!と思うんだけど、気づいたらぐったり疲れている。

不慣れを1番感じやすい現場は、食卓なのかもしれない。

だけど、日本から持ってきていた調味料を使った料理を食べると、ため息が出るほど安心する。お味噌汁を飲んで染みる感覚、あれは世界一だ。

やっぱ日本の味は日本の調味料から。醤油とみりんと酒と砂糖とだしが、日本で作られる全ての料理の味を付けているんじゃないか、とまで最近思えてきた。うま味があれば美味しいと思える自分ってちょろい。

それでもフィジー人は今日もきっとココナッツで煮た料理を作っているだろうし、インド人は今日もスパイスたっぷりのカレーを食べているんだろう。

それぞれの文化圏に、それぞれが安心する「おいしい」にぴったりはまる味がきっとある。毎日スパイスカレーとか信じられないけど、その信じられなさは、自分の安心する「おいしい」にはまる場所とズレているということなのだろう。

やっぱりホームの味が1番だ。

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