文章が書きたい|10月24日(火)

「異質」で全てが目新しい世界だったのに、ほとんどのことが「普通」になっている。

気づいたらフィジーに来て5ヶ月も経っている。

今日は一段と海が青かったな、とか、

今日はマーケットでオクラが安く買えたな、とか、

明日はゴミ出しの日だな、とか、

そういえば家から見えるゴミ山の煙、今日は気にならなかったな、とか、

今夜はいつもより外の犬が静かだな、とか。

でもついさっき街中の電気が止まって、真っ暗になったことはさすがに平常心ではない(実は2週間に1回、ひどいときは3日に1回くらい停電している)。

ルームメイトは「まあまあこういう時は大人しく寝よう」と70歳くらいの貫禄を見せてものの30秒くらいで寝てしまった。(!)

しかたなく、暗闇の中ひとりイヤホンで音楽を聴く。

そしたら左右前後から、あちこちで音が鳴っているように聞こえる。こんなに立体的で音の数が多い曲だったことを忘れていた。同時にイヤホンで聴く音楽が久しぶりであることにも気がつく。

暗闇に包まれるひとりの時間。

最近、なにも見えなくなってきていることに薄々気づいていた。どんな風景や人にあっても、前のような「異質さ」を感じないことが分かっていた。

だからおもしろく文章が書けない。

余白の時間はいつも、頭で文章の構成を考えていたのに、それもしなくなっていた。

それに少し、自分で自分に落胆していた。気がつけない、と

でも、イヤホンで聞くと気がつく音の数が多くなるみたいに、

生活もそうやって過ごしてみればいいんだと思った。

おもしろさは、自分でどうやっておもしろがるか、にかかっている。

それをまたやってみたくなって、まだ現在進行形で停電しているけれどパソコンを開いた。

暗闇に浮き出る画面にこんな文章を書くのは、とても面白い。ルームメイトは、まだ起きない。

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